継続雇用制度の導入について

高年齢者雇用安定法の改正により、平成1841日から、年金支給開始年齢の段階的引上げにあわせて65歳までの定年の引上げ、継続雇用制度の導入等の高年齢者雇用確保措置を講ずることが義務づけられました。

1. 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の改正(高年齢者雇用確保措置の実施義務化)の概要 【平成1841日から施行】

 平成1841日から、以下の措置を講じなければならないこととなりました。
165歳未満の定年の定めがあるので、高年齢者を65歳(注1)まで雇用するために、次のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じなければなりません。
@定年の引上げ
A継続雇用制度の導入
B定年の定めの廃止
 ただし、労使協定により、Aの継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準(P.2)を定め、当該基準に基づく制度を導入したときは、Aの措置を講じたものとみなされます。

(注1)この年齢は、年金(定額部分)の支給開始年齢の引上げスケジュールにあわせ、平成201341日までに段階的に引き上げていくものとされています。

平成2006年4月1日〜平成2007年3月31日 62歳
平成2007年4月1日〜平成2010年3月31日 63歳
平成2010年4月1日〜平成2013年3月31日 64歳
平成201341日〜          65歳

2. 高年齢者雇用確保措置(継続雇用制度について)
1)継続雇用制度の内容 
 継続雇用制度とは、現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度です。なお、継続雇用制度には、@定年年齢が設定されたまま、その定年年齢に到達した者を退職させることなく引き続き雇用する『勤務延長制度』と、A定年年齢に達した者をいったん退職させた後、再び雇用する『再雇用制度』の2つの制度があります。

2)雇用条件
 雇用条件については、高年齢者の安定した雇用の確保が図られたものであれば、必ずしも労働者の希望に合致した職種・労働条件による雇用を求めるものではありません。また、常用雇用のみならず、短時間勤務や隔日勤務なども含みますので、会社の実情にあった制度の導入が可能です。

3)継続雇用制度の対象者に係る基準
 各企業の実情に応じ、労使の工夫による柔軟な対応が取れるよう、労使協定により継続雇用制度の対象者となる高年齢者に係る基準を定めたときは、この基準に該当する高年齢者を対象とする制度を導入することも認められています。

3. 継続雇用制度の対象者に係る『基準』
1)基本的な考え方
 継続雇用制度について労使協定で基準を定めることを求めることとしたのは、継続雇用の対象者の選定に当たっては、会社によって必要とする能力や経験等が様々であると考えられるため、労使間で十分に話し合い、その会社に最もふさわしい基準を労使納得の上で策定するという仕組みを作ることが適当であるという理由からです。

 このようなことから、基準の策定に当たっては、労使間で十分協議の上、各会社の実情に応じて定められることを想定しておりますので、その内容については、原則として労使に委ねられています。
  
  ただし、労使で十分に協議の上、定められたものであっても、事業主が恣意的に継続雇用を排除しようとするなど本改正の趣旨や他の労働関連法規に反する又は公序良俗に反するものは認められていません。
【適切ではないと考えられる例】
『会社が特に必要と認めた者に限る』(基準がないことと等しく、これのみでは本改正の趣旨に反するおそれがあります。)

『上司の推薦がある者に限る』(基準がないことと等しく、これのみでは本改正の趣旨に反するおそれがあります。)
『男性(女性)に限る』(男女差別に該当するおそれがあります。)
『組合活動に従事していない者』(不当労働行為に該当するおそれがあります。)
2)国が勧める望ましい基準(参考まで)
 継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準については、以下の2つの観点に留意して策定されたものが望ましいとされています。
◇観点@:意欲、能力等をできる限り具体的に判るものであること【具体性】

  労働者自ら基準に適合するか否かを一定程度予見することができ、到達していない労働者に対して能力開発等を促すことができるような具体性を有するものであること。
観点A:必要とされる能力等を客観的に示されており、該当可能性を予見することができるものであること【客観性】
  会社や上司等の主観的選択ではなく、基準に該当するか否かを労働者が客観的に予見可能で、該当の有無について紛争を招くことのないよう配慮されたものであること。
【例】
『社内技能検定レベルAレベル』
『営業経験が豊富な者』(全国の営業所を3箇所以上経験)
『過去3年間の勤務評定がC(平均)以上の者』(勤務評定が開示されている会社の場合)
3)基準に係る経過措置
 事業主が労使協定のために努力したにもかかわらず協議が調わないときは、大企業の場合には、平成21331日まで、中小企業の場合(常時雇用する労働者の数が300人以下である事業)には、平成23331日までの間は、就業規則等により高年齢者に係る基準を定め、当該基準に基づく制度を導入できることとしています。