就業規則サンプルと作成ポイント

条文例 解 説

第1章 総則

(目的)第1条
1 この就業規則(以下「規則」という。)は、従業員の労働条件、服務規律その他就業に関する事項を定めるものである。
2 この規則に定めのない事項については、労働基準法その他の法令の定めるところによる。

(適用範囲)第2条
 この規則は、第2章で定める手続きにより採用された従業員に適用する。ただし、パートタイム従業員または臨時従業員の就業に関し必要な事項については、別に定めるところによる。

(規則の遵守)第3条
従業員は、この規則を守り、相互に協力して業務の運営に当らなければならない。

◆適用範囲について
 適用範囲を明確に定めます。特に、パート社員をなど雇用している場合、個別の規定についてパート社員にも適用されるかどうか明確にしておかないと、のちのち問題になるので、正社員に適用される規定とパート社員に適用される規定を明確にしましよう。パートタイマー労働法では、パート社員に適用される就業規則を別立てで作成することが望ましいとしています。

◆規則の遵守
 従業員に対して、この就業規則を守ることを義務付けます。この規則を守らなかった場合に制裁を与えることができる枠組みを作る意味合いもあります。

第2章 採用、異動等

(採用手続き)第4条 
 会社は、就職希望者のうちから選考して、従業員を採用する。

(採用時の提出書類)第5条
1 従業員に採用されたものは、次の書類を採用日から2週間以内に提出しなければならない。
@ 履歴書
A 住民票記載事項の証明書
B 年金手帳及び雇用保険被保険者証
C その他会社が指定するもの
2 前項の提出書類の記載事項に変更を生じたときは、速やかに書面でこれを届出なければならない。

(試用期間)第6条  
 1 新たに採用した者については、採用の日から「○ヶ月間」を試用期間とする。ただし、会社が適当と認めるときは、この期間を短縮し、または設けないことがある。
 2 試用期間中に従業員として不適格と認められた者は、解雇することがある。
 3 試用期間は、勤続年数に通算する。

(労働条件の明示)第7条
 会社は、従業員との労働契約の締結に際しては、採用時の賃金、就業場所、従事する業務、労働時間、休日、その他の労働条件を明らかにするための労働条件通知書及びこの規則を交付して労働条件を明示するものとする

(人事異動)第8条
 会社は、業務上必要がある場合は、従業員の就業する場所または従業員の業務の変更を命ずることができる。

(休職)第9条
1 従業員が、次の場合に該当するときは、所定の期間休職とする。
@私傷病による欠勤が「○ヶ月」を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないと認められたとき「○年」
A前号のほか、特別の事情があり、休職させることが適当と認められるとき「必要な期間」
2 休職期間中に休職事由が消滅したときは、元の職務に復帰させる。ただし、元の職務に復帰させることが困難であるか、または不適当な場合には、他の職務に就かせることがある。
3 第1項第1号により休職し、休職期間が満了してもなお傷病が治癒せず就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって退職する。

◆採用
 採用の手続等について定めます。選考試験の実施、審査の基準、なども記載してもいいです。

 また、男女雇用機会均等法により、性別で募集することや男女別に採用枠を設けないこと、男女で異なる選考基準で選考しないことなど、禁止されている事があるので注意しなければなりません。
採用時の提出書類としては、この他の書類として
@身元保証書…事業主に損害を与えたというような場合には、身元保証人が労働者本人に代わってその責任を負うことを約する契約。期間を定めなかった場合には3年、期間を定めた場合であっても5年を超えることはできない。この契約は、更新することができる。
A秘密保持に関する誓約書・・・顧客情報の漏洩や企業の情報漏洩を防ぐための1つの手段となる。

◆試用期間
 試用期間を、あまり長く設定することは望ましくありません。また、いったん定めた試用期間を延長することも行なってはいけません。試用期間中であっても、14日を超えて使用した場合には、通常の従業員を解雇するときと同じ手続きが必要となります。

◆労働条件の明示
 労働契約の締結に際し、労働者に対して、賃金及び労働時間その他の労働条件を明示する義務があります。
●下記の絶対的明示事項に関する事項は、これらの事項が明らかとなる書面を労働者に交付しなければならない。
@労働契約の期間に関する事項
A就業場所及び従事すべき業務に関する事項
B始業および終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇ならびに労働者を2組以上に分けて就業させる場合の就業時転換に関する事項
C賃金(退職手当および臨時に支払われる賃金を除く)の決定、計算および支払いの方法、賃金の締切りおよび支払いの時期ならびに昇給に関する事項
D退職に関する事項
●相対的明示事項は、それらに関する定めを設けている場合にのみ、明示する義務を負う。
E退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算および支払の方法ならびに退職手当の支払時期に関する事項
F臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与および労基則8各号に掲げる賃金ならびに最低賃金額に関する事項
G労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
H安全および衛生に関する事項
I職業訓練に関する事項
J災害補償および業務外の傷病扶助に関する事項
K表彰および制裁に関する事項
L休職に関する事項

◆人事異動
 転勤や配置転換は、従業員の同意は原則不要で、会社に裁量権があるとされていますが、地域を限定して採用した従業員をその地域を越えて転勤させる場合や、職種を限定して採用した者の職種を変更する場合には、同意が必要となります。また、異動は次の点に留意が必要です。

@業務上に必要性があるか
A人選は合理性があるか
B公正な取り扱いか

◆休職について
 休職とは、従業員の身分を保有したまま一定期間就業義務を免除する制度です。休職事由には、業務とは関係ない私傷病の療養のため、公職に就くため、刑事事件により身柄を拘束され勤務不能となったため、ボランティア活動に従事するため、労働組合の専従職員になるため等があります。
 また、私傷病の場合の休職期間は勤続年数に応じて差をつけるのが一般的です。また休職期間中の賃金は、無給とするのが一般的です。ただし、私傷病で休職する者に対しては、勤続年数により一定期間賃金を支給するところも多いです。

第3章 服務規程

(服務)第10条
 従業員は、会社の指示命令を守り、職務上の責任を自覚し、誠実に職務を遂行するとともに、職場の秩序の維持に努めなければならない。

(遵守事項)第11条
 従業員は、次の事項を守らなければならない。
@ 勤務中は勤務に専念し、みだりに勤務の場所を離れないこと
A 許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品等を使用しないこと
B 職務に関連して自己の利益を図り、または他より不当に金品を借用し、若しくは贈与を受けるなど不正な行為を行わないこと
C 会社の名誉または信用を傷つける行為をしないこと
D 会社、取引先等の機密を漏らさないこと
E 許可なく他の会社等の業務に従事しないこと
F 性的な言動によって他の従業員に不利益を与えたり、就業環境を害さないこと
G その他酒気をおびて就業するなど従業員としてふさわしくない行為をしないこと

(出退勤)第12条
 従業員は、出退勤にあたって出退勤時刻をタイムカードに自ら記録しなければならない。

(遅刻、早退、欠勤等)第13条
1 従業員が、遅刻、早退若しくは欠勤をし、または勤務時間中に私用外出するときは、事前に申し出て許可を受けなければならない。ただし、やむを得ない事由で、事前に申し出ることができなかった場合は、事後に速やかに届出なければならない。
 2 傷病のため欠勤が引き続き「○日以上」に及ぶときは、医師の診断書を提出しなければならない。

◆服務
 服務規律は、会社を適切に運営し秩序を維持するためのものであり、従業員の行動規範を示すものです。


◆遵守事項
 主に法令遵守、機密保持、セクハラの禁止などに対する会社の決意とこれらの事項に対する姿勢を示し、従業員が仕事をするにあたっての行動指針や判断基準とするためのものを定めます。
 なお、第11条の7項は、セクシャルハラスメントの防止に関する規定です。法律では、職場におけるセクハラを雇用管理上の問題と位置づけ、これを防止するよう事業主に配慮義務を定めています。


◆出退勤

 出退勤の記録方法は、会社によってタイムカード、出勤簿への記入などいろいろあります。その会社に即したものを定めます。

◆遅刻、早退、欠勤等
 会社の実態にあわせて、細かく定めます。

第4章 労働時間、休憩及び休日

(労働時間及び休憩時間)第14条
1 労働時間は、1週間については40時間、1日については8時間とする。
2 始業・終業の時刻及び休憩時間は、次のとおりとする。ただし、業務の都合その他やむを得ない事情により、これらを繰り上げ、または繰り下げることがある。この場合において業務の都合によるときは、事業場の長が前日までに通知する。
  始業、終業時間

    (始業)午前  時  分
   (終業)午前  時  分
   休憩時間    時  分から  時  分まで

(休日)第15条 
1 休日は、次のとおりとする。
@土曜日及び日曜日
A国民の祝日
B年末年始(  月  日〜1月  日)
C夏期休暇(  月  日〜  日)
Dその他会社が指定する日
2 業務の都合により会社が必要と認める場合は、あらかじめ前項の休日を他の日と振替えることがある。

(時間外及び休日労働)第16条 
1 業務の都合により、第14条の所定労働時間を超え、または第15条の所定休日に労働させることがある。この場合において、法定の労働時間を超える労働または法定の休日における労働については、あらかじめ会社は従業員の代表と書面による協定を締結し、これを所轄の労働基準監督署長に届け出るものとする。
2 小学校就学前の子の養育または家族の介護を行う従業員(指揮命令者及び専門業務従事者を除く)で時間外労働を短いものとすることを申し出た者の法定の労働時間を超える労働については、前項後段の協定において別に定めるものとする。
3 妊産婦で請求のあった者及び18歳未満の者については、第1項後段による時間外若しくは休日または午後10時から午前5時までの深夜に労働させることはない。
4 前項の従業員のほか小学校就学前の子の養育または家族の介護を行う一定範囲の従業員で会社に請求した者については、事業の正常な運営を妨げる場合を除き午後10時から午前5時までの深夜に労働させることはない。
5 前項の深夜業の制限の手続等必要な事項については、「育児休業、育児のための深夜業の制限及び育児短時間勤務に関する規定」及び「介護休業、介護のための深夜業の制限及び介護短時間勤務に関する規定」で定める。

◆労働時間及び休憩時間
 就業時間は、労働基準法に上限が定められています。これを超える時間を就業規則として定めることはできません。法定労働時間は、休憩時間を除いて一週間について40時間、一日について8時間が原則となっています。したがって、この時間を上回る時間を定めることはできません。ただし、一部の特例措置対象事業場については、一週間について44時間まで労働させることができます。

 休憩時間は、1日の労働時間が6時間を超える場合に、少なくとも45分の休憩。1日の労働時間が8時間を超える場合には、少なくとも60分の休憩を与えなければなりません。

 また、休憩の三原則があります。
@労働時間の途中に与えなければならない。
A一斉に与えなければならない。
B自由に利用させなければならない。
 ことになっています。ただしAの一斉付与については労使協定を締結した場合、または業務によって。Bについても業務によって自由に利用させなくてもよい場合があります。

◆休日
 会社は、毎週少なくとも1回の休日を与えなければなりません。休日をいつにするかはそれぞれの会社に任されています。また、1週間に1日の休日を与えることが困難な場合には、4週間を通じ4日以上の休日を与えることできます。ただし休日のない週の所定労働時間が法定労働時間を超える場合には、注意を要します。
 週休2日制の場合には、2日のうちどちらかを労働させたとしても、週1回の休日は確保されているため休日労働とはなりません。ただし、週40時間を超えれば、時間外労働になります。
 また、週1日の休日に勤務させる場合で、休日労働にしたくない場合には、振替とします。振替は、
@就業規則に振替ができる旨を規定しておく。
Aあらかじめ労働者に通知
B同一週内で振替日を指定する
などの要件を備えることが必要です。

 なお、この振替と代休は異なります。代休は、休日に労働した後にその代償としてその後の特定の労働日に労働義務を免除することいいます。これは、振替ではありませんので、休日労働ということになります。

◆時間外及び休日労働
 労働基準法では、原則として一週間につき40時間を超えて労働をさせることを禁止しています。しかし、法定労働時間を超え労働させることができる場合があります。
@次の事由により臨時の必要がある場合
(1)災害その他避けることのできない事由

   (所轄労働基準監督署長の許可が必要)
(2)公務のため
A三六協定による場合
 休日労働も原則禁止されていますが、協定を結ぶことで労働させることができます。なお、週休2日制の場合、休日のうち1日は法定休日とはなりませんので、その日に労働させても休日労働にはなりません。ただし、所定外労働に該当する場合がでてくるので、その場合は割増賃金を支払う必要がでてきます。

第5章 休暇等

(年次有給休暇)第17条 
1 各年次ごとに所定労働日の8割以上出勤した従業員に対しては、次の表のとおり勤続年数に応じた日数の年次有給休暇を与える。

勤続年数

6ヶ月

1年6ヶ月

2年6ヶ月

3年6ヶ月

4年6ヶ月

5年6ヶ月

6年6ヶ月

付与日数

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

2 従業員は、年次有給休暇を取得しようとするときは、あらかじめ時期を指定して請求するものとする。ただし、会社は事業の正常な運営に支障があるときは、従業員の指定した時季を変更することがある。
3 前項の規定にかかわらず、従業員代表との書面による協定により、各従業員の有する年次有給休暇日数のうち5日を超える部分について、あらかじめ時季を指定して与えることがある。
4 出勤率の算定に当っては、年次有給休暇を取得した期間、産前産後の休業期間、育児・介護休業法に基づく育児休業期間、介護休業期間及び業務上の傷病による休業期間は出勤したものとして取り扱う。
5 当該年度に新たに付与した年次有給休暇の全部または一部を取得しなかった場合には、その残日数は翌年度に繰り越される。

(産前産後の休業)第18条
1 6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女性従業員から請求からあったときは、休業させる。
2 出産した女性従業員は、8週間は休業させる。ただし、産後6週間を経過した女性従業員から請求があったときは、医師が支障がないと認めた業務に就かせることができる。


(母性健康管理のための休暇等)第19条
1 妊娠中または出産後1年を経過しない女性従業員から、所定労働時間内に、母子保健法に定める健康診査または保健指導を受けるために、通院休暇の請求があったときは、次の範囲で休暇を与える。
@産前の場合
   妊娠23週まで・・・・・・・・・・・4週間に1回
   妊娠24週から35週まで・・・・・・2週に1回
   妊娠36週から出産まで・・・・・・・1週に1回
 ただし、医師または助産師(以下「医師等」という。)がこれと異なる指示をしたときには、その指示により必要な時間とする。
A産後1年以内の場合
  医師等の指示により必要な時間とする。 
2 妊娠中または出産後1年を経過しない女性従業員から、保健指導または健康診査に基づき勤務時間等について医師等の指示をうけた旨、申出があった場合、次の措置を講ずることとする。
@妊娠中の通勤緩和
 通勤時の混雑を避けるように指導された場合は、原則として1時間の勤務時間の短縮または1時間以内の時差出勤
A妊娠中の休憩の特例
 休憩時間について指導された場合は、適宜休憩時間の延長、休憩の回数の増加
B妊娠中または出産後の諸症状に対応する措置
 妊娠または出産に関する諸症状の発生または発生のおそれがあるとして指導された場合は、その指導事項を守ることができるようにするため作業の軽減、勤務時間の短縮、休業等

(育児時間等)第20条
1 1歳に満たない子を養育する女性従業員から請求があったときは、休憩時間のほか1日について2回、1回について30分の育児時間を与える。
2 生理日の就業が著しく困難な女性従業員から請求があったときは、必要な期間休暇を与える。

(育児休業等)第21条
 1 従業員は、1歳に満たない子を養育するため必要があるときは、会社に申し出て育児休業をし、または育児短時間勤務制度の適用を受けることができる。
 2 育児休業をし、または育児短時間勤務制度の適用を受けることができる従業員の範囲その他必要な事項については、「育児休業、育児のための深夜業の制限及び育児短時間勤務に関する規定」で定める。

(介護休業等)第22条 
1 従業員のうち必要のある者は、会社の申し出て介護休業をし、または介護短時間勤務制度の適用を受けることができる。
2 介護休業をし、または介護短時間勤務制度の適用を受けることができる従業員の範囲その他必要な事項については、「介護休業のための深夜業の制限及び介護短時間勤務に関する規定」で定める。

(慶弔休暇)第23条
 従業員が次の事由により休暇を申請した場合は、次のとおり慶弔休暇を与える。

@ 本人が結婚したとき        日
A 妻が出産したとき         日
B 配偶者、子または父母が死亡したとき           日
C 兄弟姉妹、祖父母、配偶者の父母または兄弟姉妹が死亡したとき  日
◆年次有給休暇>
 6ヶ月経過日から起算して継続勤務年数2年までは、1年ごとに1労働日が追加付与されますが、当該6ヶ月経過日以後の継続勤務年数が3年以上になると1年ごとに2労働日が追加付与されます。ただし、付与が義務づけられている日数は最大20労働日です。
  また、週の所定労働日が、通常の労働者に比べて少ない労働者等についても、各人の所定労働日数に比例して年次有給休暇を付与する制度が設けられています。対象労働者は、週の所定労働時間が30時間未満でありかつ、次の@またはAのいずれかに該当する者です。
@週の所定労働日数4日以下
A週以外の期間によって所定労働日数が定められている場合には、年間の所定労働日数が216日以下の者

◆産前産後の休業
 6週間以内に出産する予定の女性が休業を請求したときには、母性保護の観点から就業させることができません。また、産前は本人の請求により休暇を付与しますが、他方で産後は本人の請求にかかわらず8週間は就業させることができません。ただし、本人の請求があり、医師の支障がないと認めた業務については、産後6週間後に就業させてもかまいません。

◆母性健康管理のための休暇等>
 会社は、妊産婦が保健指導、健康診査を受ける為に必要な時間を確保できるようにしなければなりません。その必要な時間とは、保健指導、健康診査の時間と、通院にかかる時間も含みます。

◆育児時間等
 通勤時間や保育施設の状況を考えれば、始業時若しくは終業時に付与することが、本人の利便性を高めるものと考えられます。育児時間はパートタイマーから請求された場合も付与しなければなりませんが、一日の所定労働時間が4時間未満のパートタイマーに対しては、1日1回で足りるとされています。

◆育児休業等
 男女を問わず従業員は、1歳未満の子供を養育するための休業を申し出ることができます。男性従業員や実子でない1歳未満の子供を養育する従業員も、育児休業を取得することができます。ただし、日々雇用される者、期間を定めて雇用される者は、育児休業をさせる者から除くことができます。
 従業員から育児休業の申出があった場合は、会社は育児休業の取得を拒否することはできません。ただし、育児休業をすることができないと労使協定で定めた従業員からの申出については、この限りではありません。

◆介護休業等
 男女を問わず従業員は、要介護状態にある対象家族を介護するための休業を申し出ることができます。要介護状態とは、負傷、疾病、または身体上若しくは精神上の傷害により、2週間以上にわたり、常時介護を必要とする状態のことをいいます。
 対象家族とは、配偶者、父母、子、配偶者の父母並びにこれに準ずる者として、従業員と同居し、かつ扶養している祖父母、兄弟姉妹、孫のことです。
 また、日々雇用される者、期間を定めて雇用される者は、育児休業と同様に介護休業をさせる者から除くことができます。

◆慶弔休暇
 慶弔休暇は、福利厚生の性格が強く、各社あまり大きな差のないところで決めています。
これらを有給にするか、無給にするかは、労働基準法上では別段定めはなく、各社とも自由に決めています。また、付与日数も、会社の状況に合わせて定めることができます。

第6章 賃金

(賃金の構成)第24条
 賃金の構成は、次の通りとする。
   基本給

   諸手当

(基本給)第25条 
 基本給は、本人の経験、年齢、技能、職務遂行能力等を考慮して各人毎に決定する。

(家族手当)第26条
 家族手当は、次の家族を扶養している従業員に対し、支給する。
@ 配偶者                            月額     円

A 18歳未満の子1人から3人まで 1人につき   月額      円
B 60歳以上の父母        1人につき  月額      円


(通勤手当)第27条
 通勤手当は、月額   円までの範囲内において、通勤に要する実費に相当する額を支給する。

(役付手当)第28条
 役付手当は、次の職位にあたる者に支給する。
 @ 部長    月額          円
 A 課長    月額          円
 B 係長    月額          円


(精勤手当)第29条
1 精勤手当は、当該賃金計算期間における次の出勤成績により、次のとおり支給する。
@ 無欠勤の場合       月額          円

A 欠勤1日以内の場合    月額          円
2 前項の精勤手当の計算においては、次のいずれかに該当するとき出勤したものとみなす。
@ 年次有給休暇を取得したとき
A 業務上負傷し、または疾病にかかり療養のため休業したとき
3 第1項の精勤手当の計算に当っては、遅刻または早退3回をもって、欠勤1日とみなす。


(割増賃金)第30条
 割増賃金は、次の算式により計算して支給する。
@ 時間外労働割増賃金
  (所定労働時間を超えて労働させた場合)
   基本給÷1ヶ月平均所定労働時間×1.25×時間外労働時間数
A 休日労働割増賃金
  (所定の休日に労働させた場合)
   基本給÷1ヶ月平均所定労働時間×1.35×休日労働時間数
B 深夜労働割増賃金
  (午後10時から午前5時までの間に労働させた場合)
   基本給÷1ヶ月平均所定労働時間×0.25×深夜労働時間数

(休暇等の賃金)第31条
1 年次有給休暇の期間は、所定労働時間したときに支払われる通常の賃金を支給する。
2 産前産後の休業期間、母性健康管理のための休暇、育児・介護休業法に基づく育児休業及び介護休業の期間、育児時間、生理日の休暇の期間は、無給(有給)とする。
3 慶弔休暇の期間は、第1項の賃金を支給する(無給とする)。
4 休職期間中は、賃金は支給しない

(欠勤等の扱い)第32条
 欠勤、遅刻、早退及び私用外出の時間については、1時間あたりの賃金額に欠勤、遅刻、早退及び私用外出の合計時間数を乗じた額を差し引くものとする。

(賃金の計算期間及び支払日)第33条
1 賃金は、毎月末日に締め切り、翌月  日に支払う。ただし、支払日が休日に当るときはその前日に繰り上げて支払う。
2 計算期間中の中途で採用され、または退職した場合の賃金は、当該計算期間中の所定労働日数を基準に日割計算して支払う。

(賃金の支払いと控除)第34条
1 賃金は、従業員に対して、通貨で直接その全額を支払う。ただし、従業員代表との書面協定により、従業員が希望した場合は、その指定する金融機関の口座または証券総合口座に振り込むことにより賃金を支払うものとする。
2 次に掲げるものは、賃金から控除するものとする。
@源泉所得税
A住民税
B健康保険及び厚生年金保険の保険料の被保険者負担分
C雇用保険の保険料の被保険者負担分
D従業員代表との書面による協定により賃金から控除することとしたもの

(昇給)第35条
1 昇給は、毎年  月  日をもって、基本給について行うものとする。ただし、会社の業績の著しい低下、その他やむを得ない事由がある場合にはこの限りでない。
2 前項のほか、特別に必要がある場合には、臨時に昇給を行うことがある。
3 昇給額は、従業員の勤務成績等を考慮して各人ごとに決定する。

(賞与)第36条
1 賞与は、原則として毎年  月  日及び  月  日に在籍する従業員に対し、会社の業績等を勘案して  月及び  月に支給する。ただし、会社の業績の著しい低下、その他やむを得ない事由がある場合には、支給時期を延期し、または支給しないことがある。
2 前項の賞与の額は、会社の業績及び従業員の勤務成績などを考慮して各人ごとに決定する。

◆基本給
 賃金の決定方法は、基本給と諸手当で構成されていることが多いです。基本給は、年齢給と職能給を組み合わせたり、総合給にしたものを基本給としている場合が多いです。
 最近は、年功的賃金ではなく、基本給の構成を成果給、役割給、業績給などにする企業が多くなってきました。当社は、会社の状況に適した賃金制度を設計しますので、ご用命ください。

◆諸手当
 諸手当として、家族手当、通勤手当、役付手当、精勤手当、住宅手当などが支給されます。しかし、これらの諸手当は仕事や職務遂行能力とはあまり関係ない手当であり、成果や業績と賃金を連動を重視するようになった今日では見直しが必要です。
 通勤手当に関しては、ほとんどの会社で実費を支給しています。通勤手当の支給基準に関しては、一般的に別に通勤手当規程を定めて、支給上限額、マイカー通勤などの費用負担を細かく定めているところが多いです。

◆割増賃金>
 時間外労働、休日労働、深夜労働をさせた場合には、割増賃金の支給が義務づけられています。1日の法定労働時間を超える場合の割増賃金率は1.25、週1日の法定休日に労働させた場合の割増賃金率は1.35となっています。
 割増賃金を算定する基礎となる賃金額には、原則として諸手当を含めますが、以下のものに関しては、算入しなくてよいことになっています。
 「通勤手当、家族手当、住宅手当、別居手当、子女教育手当、臨時に支払われた賃金、1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金」

◆休暇等の賃金
 年次有給休暇日の賃金は、就業規則の絶対的必要記載事項としての賃金に該当するため、就業規則に定めておく必要がある。また、有給休暇の賃金の算定方法として、
@ 就業規則その他これに準ずるものの定めによる場合
 ・ 平均賃金
 ・ 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
A 労使協定で定めた場合
 ・ 健康保険法に定める標準報酬日額に相当する金額
の3つの方法があります。

◆欠勤等の扱い
 欠勤、遅刻、早退、私用外出に関して、あらかじめ直属の上司に届出、承認を受けるようにしておきます。また、無断欠勤の繰り返しは、制裁の対象となりますので、何が無断欠勤になるかをきちんと定めておくようにしましょう。

◆賃金の計算期間及び支払日
 賃金の支払いは、通貨で、直接従業員に、その全額を、毎月1回以上、一定期日を定めて支払わなければなりません。これを賃金支払いの五原則といいます。ただし、従業員の同意を得た場合には、従業員の指定する金融l機関に振り込むことが認められています。その場合には、給与振込み明細を個々の従業員に交付しなければなりません。

◆賃金の支払いと控除
 賃金は全額を支払わなければなりませんが、税金、健康保険、雇用保険、厚生年金保険の本人負担分保険料については、賃金から控除することができます。また、労使協定がある場合は、個人が加入している団体保険の保険料、旅行積立金など、その協定したものについて控除することができます。


◆昇給
 昇給は、定期昇給とベースアップによって構成されています。1年経過し、年齢が上がり、経験を積むことで熟練度が増すと考え、原則として全員を対象に昇給させるのが定期昇給です。また、物価の上昇に合わせて賃金を増額させるのがベースアップで、賃金の底上げを図るものです。

◆賞与
 賞与を支給する場合には、支給基準、支給対象期間、支給対象者、支給時期、支給回数などを定めておきます。また、賞与の金額は、会社の業績と個人の業績や貢献度そして世間相場などによって増減します。

第7章 定年、退職及び解雇

(定年等)第37条 
1 月給制の従業員の定年は、満60歳とし、定年に達した日の属する月の末日をもって退職とする。
2 定年に達した従業員について、本人の希望により一定の期間引き続き雇用することがある。

(退職)第38条
 前条に定めるもののほか従業員が次のいずれかに該当するときは、退職とする。
@ 退職を願い出て会社から承認されたとき、または退職願を提出して14日を経過したとき
A 期間を定めて雇用されてる場合、その期間を満了したとき
B 第9条に定める休業期間が満了し、なお、休職事由が消滅しないとき
C 死亡したとき

(解雇)第39条
1 従業員が次のいずれかに該当するときは、解雇するものとする。ただし、第45条の2項の事由に該当すると認められたときは、同条の定めるところによる。
@ 勤務成績または業務能率が著しく不良で、従業員としてもふさわしくないと認められたとき
A 精神または身体の障害により、業務に耐えられないと認められたとき
B 事業の縮小その他事業の運営上やむを得ない事情により、従業員の減員等が必要となったとき
C その他前各号に準ずるやむを得ない事情があるとき
2 前項の規定により従業員を解雇する場合は、少なくとも30日前に予告するか、または平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払う。ただし、労働基準監督署長の認定を受けて第44条に定める懲戒解雇をする場合及び次の各号いずれかに該当するに従業員を解雇する場合はこの限りではない。
@ 日々雇い入れられる従業員
  (1ヶ月を超えて引き続き雇用された者を除く)
A 2ヶ月以内の期間を定めて使用する従業員
  (その期間を超えて引き続き雇用された者を除く)
B 試用期間中の従業員
  (14日を超えて引き続き雇用された者を除く)

◆定年等
 定年の年齢は、60歳以上に設定しなければなりません。60歳以下に定年年齢を設定している場合は無効とされ、定年の定めがないものと見なされます。また、男性と女性とで異なる定年年齢を定めることはできません。高年齢雇用安定法が改定し65歳まで定年を引き上げなければならなくなりました。退職金制度の改定も含めて当社の人事コンサルティングをご利用ください。

◆退職
 退職とは、従業員との間の労働契約を解除して終了させることです。従業員からの意思表示、或いは、従業員と会社の双方の合意により労働契約を解除する場合を退職といいます。退職には、定年年齢に達した場合の定年退職、従業員からの申出による自己都合退職、有期雇用契約の期間が満了した場合の期間満了による退職、役員就任のための退職、従業員の死亡による死亡退職などがあります。

◆解雇
 解雇には、会社都合による場合、天災事変による場合などがありますが、会社都合の場合は、合理的な理由が必要です。
また、次の期間は解雇できません。
@業務上の傷病による休業期間及びその後30日間
A産前産後休業期間及びその後30日間
しかし、この期間であっても例外的に解雇できる場合があります。
@事業主が打切補償(法81条)を支払った場合
A天災事変その他やむを得ない事由のため事業の継続が不可能となった場合(行政官庁の認定が必要)

 
◆解雇の予告
 解雇予告は、30日前に予告をするか、または30日分の解雇予告手当金を支払わなければなりません。ただし、例外的に解雇予告がいらない場合があります。

@天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
A労働者の責めに帰すべき事由
  ただし、両方とも行政官庁の認定が必要です。また、労働者の責めに帰すべき事由というのは、単に遅刻や欠勤が多いというだけでなく、そのたびに従業員に注意をしているなど改善措置をしていることが必要です。

第8章 退職金

(退職金の支給)第40条
1 勤続○○年以上の従業員が退職し、または解雇されたときは、この章に定めるところにより退職金を支給する。ただし、第45条第2項により懲戒解雇された者には、退職金の全部または一部を支給しないことがある。

(退職金の額)第41条
1 退職金の額は、退職または解雇時の基本給の額に、勤続年数に応じて定めた別表の支給率を乗じた金額とする。
2 第9条により休職する期間は、会社の都合による場合を除き、前項の勤続年数に算入しない。

(退職金の支払方法及び支払時期)第42条
 退職金は、支給の事由の生じた日から   ヶ月以内に、退職した従業員(死亡による退職の場合はその遺族)に対して支払う。

<退職金> 
 退職金制度を設けるかどうかは、会社の自由な選択に任されています。退職金の支払いは法律で定められているわけではありませんので、退職金制度を設けないこともできるのです。しかし、就業規則(退職金規程も含む)に退職金に関する事項を定めてある場合には、会社は退職金支払いの義務が生じることになります。
  退職金制度を、作成して支給する場合には、その旨を就業規則に定めておかなければなりません。この場合、賃金と同様に、就業規則本体で詳細に定めるのではなく、別規程を作成しておくのが一般的です。
 退職金規程では、適用される従業員の範囲、退職金の決定・計算・支払方法、支払いの時期に関することを定めます。

 パートタイマーに対しては、退職金を支払わない場合や別の方法により支払う場合には、その旨を定めておかなければなりません。 パートタイマーを適用除外にしておかなければ、正社員と同様の退職金を支給することになります。
 退職金は、支払期日を就業規則で明示していれば、その期日に支払うことが認められています。しかし、支払期日がない場合には、本人からの請求があれば7日以内に支払わなければならないとされています。支払期日は必ず就業規則に定めておかなければなりません。

第9章 表彰及び懲戒

(表彰)第43条
1 会社は、従業員が次のいずれかに該当する場合は、表彰する。
@ 業務上有益な創意工夫、改善を行い、会社の運営に貢献したとき
A 永年にわたって誠実に勤務し、その成績が優秀で他の模範となるとき
B 事故、災害等を未然に防ぎ、または非常事態に際し適切に対応し、被害を最小限にとどめるなど特に功労があったとき
C 社会的功績があり、会社及び従業員の名誉となったとき
D 前各号に準ずる善行または功労があったとき
2 表彰は、原則として会社の創立記念日に行う。

(懲戒の種類)第44条
 会社は、従業員が次条のいずれかに該当する場合は、その事由に応じ、次の区分により懲戒を行う。
@ けん責  始末書を提出させて将来を戒める
A 減 給  始末書を提出させて減給する。ただし、減給は1回の額が平均賃金の1日分の5割を超えることはなく、また、総額が1賃金支払い期間における賃金総額の1割を超えることはない。
B 出勤停止 始末書を提出させるほか、○○日間を限度として出勤を停止し、その間の賃金は支給しない。
C 懲戒解雇 即時に解雇する。


(懲戒の事由)第45条
1 従業員が次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、けん責、減給または出勤停止とする。
@正当な理由なく無断欠勤○○日以上に及ぶとき
A正当な理由なくしばしば欠勤、遅刻、早退するなど勤務を怠ったとき
B過失により会社に損害を与えたとき
C素行不良で会社内の秩序または風紀を乱したとき(セクシャルハラスメントによるものも含む)
D第11条に違反したとき
Eその他この規則に違反し、または前各号に準ずる不都合な行為があったとき
2 従業員が、次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇する。ただし、情状により減給または出勤停止とすることがある。
@正当な理由なく無断欠勤○○日以上に及び、出勤の督促に応じないとき
Aしばしば遅刻、早退及び欠勤を繰り返し、○○回にわたって注意を受けても改めないとき
B会社内における窃盗、横領、傷害等刑法犯に該当する行為があったとき、またはこれらの行為が会社外で行われた場合であっても、それが著しく会社の名誉若しくは信用を傷つけたとき
C故意または重大な過失により会社に重大な損害を与えたとき
D素行不良で著しく会社内の秩序または風紀を乱したとき(セクシャルハラスメントによるものも含む)
E重大な経歴詐称をしたとき
F第11条に違反する重大な行為があったとき
Gその他前各号に準ずる重大な行為があったとき

◆表彰
 会社への貢献度が高い者を表彰し、従業員のモラールの向上をはかります。賞金は少額でも、従業員にとっては大きなインセンティブになります。

◆懲戒の種類
 制裁は、職場の秩序を維持するために行うものです。制裁を行う際には、本人に弁明の機会を与えることが大切です。 
 「減給」は、労働基準法の定めにより、1回の減給金額は平均賃金の1日分の半額を超えることができません。また、減給の総額は、1賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えることができません。
 「出勤停止」については、労働基準法に定めはありませんが、あまり長期間は好ましくありません。なお出勤停止によって賃金が不支給となり賃金が減額された場合は、減給処分には該当しません。
 「懲戒解雇」を行って、その解雇事由について労働基準監督署長の認定を受けた場合は、解雇予告手当を支払う必要はありません。認定を受けていない場合には、懲戒解雇であっても解雇予告手当の支払いが必要となります。
 ただし、就業規則に定めがない事項について、使用者が勝手に懲戒解雇を行うことはできません。そのため解雇事由の定め方には注意が必要です。会社の事情に即した解雇事由を定めましょう。

◆懲戒の事由
 どのような行為が、どのような制裁にあたるのか、制裁理由とそれに対応する制裁の種類と程度を具体的に定めておきます。特に懲戒解雇とする行為に関しては、トラブルとなることが多いため、出勤停止や減給などとは別に定めておきます。

10章 安全衛生・災害補償

(安全衛生)第56条
1 会社は、法令及び社内諸規程で定められた事項を遵守し、従業員と相互に協力して災害の未然防止に努めるとともに、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて、職場における従業員の安全と健康を確保するようにしなければならない。
2 従業員は、法令及び社内諸規程で定められた事項を遵守し、会社と相互に協力して災害の未然防止に努めるとともに、会社が行う安全衛生教育を受け、安全及び衛生に関する指示命令に従わなければならない。


(健康診断)第58条
1 会社は、採用時及び毎年1回、従業員に対して医師による健康診断を行う
2 従業員を深夜業を含む業務に配置換えをする場合には、医師による健康診断を行い、以後6ヶ月ごとに1度健康診断を行う
3 従業員は、健康診断の受診を拒むことはできない
4 配置換え時及び定期健康診断を行う費用については、会社が負担する
5 会社は、異常所見があると診断された従業員について健康診断の実施後3ヶ月以内に、医師から当該従業員の就業についての意見を聞き、その結果を個々の従業員ごとに作成した個人票に記載する
6 会社は、医師の意見を勘案し、必要があると認めるときは、その労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等必要な対応をとる
7 健康診断の結果は、すべての従業員本人に対して通知する。従業員は、自らの疾病の予防若しくは悪化防止のため、自主的に健康管理を行わなければならない。


(災害補償)第61条
 従業員が、業務上の事由または通勤により負傷し、疾病にかかり、または死亡した場合は、労働基準法及び労働者災害補償保険法に定めるところにより、災害補償を行う。

◆安全衛生
 職場の総合的環境を整備し、労働力の無駄な消耗や災害を未然に防止することによって、従業員の生命と健康を維持する管理を安全衛生管理といいます。会社は、労働災害防止の対策を講じることによって、従業員の安全と健康を確保し、快適な職場環境を形成しなければなりません。


◆健康診断
 従業員の健康管理のため、法令で健康診断の実施が会社に義務付けられています。たとえパートタイマーであっても、期間の定めなく雇用されている者、期間の定めがあっても、契約の更新により1年を超えて雇用されている者、契約の更新により1年を超えて雇用される見込みのある者のいずれかで、所定労働時間が通常の従業員のおおむね4分の3以上であれば、定期健康診断を会社負担で実施しなければなりません。

◆災害補償
 従業員が業務上あるいは通勤途中で負傷し、または疾病にかかった場合には、会社はその費用で必要な療養を行うか、必要な療養にかかる費用を負担しなければなりません。

・療養のため従業員が労働することができないために賃金を支給されない場合には、平均賃金の100分の60の休業補償を行う。
・従業員の身体に障害が残った場合は、障害の程度に応じて、定められた日数の金額の補償を行う
・従業員が業務上死亡した場合には、遺族に対して、遺族補償を行う
・また葬祭を行うものに対して、葬祭料を支給する。

負傷し、疾病にかかり、あるいは死亡した従業員がパートタイマーなど正社員以外の者であった場合も、会社は前述の災害補償を行わなければなりません。
ただし、労災保険法に基づいて前述の災害補償に相当する給付が行われるべきものである場合には、会社は補償の責任を免れることになっています。